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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「月山・鳥海山」森敦 (文春文庫)



「あたしね、自殺をするなら月山で死ぬの」
この作品を読んだ知人の感想である。
その言葉に先入観があったことは否めない。
雪に閉ざされた極寒の世界。
真っ白な深い雪に抱かれ、音のない山中で永遠の眠りにつく……という話ではなく。
死の象徴と言われる月山で雪に埋もれて寒さを耐え忍び、
花の芽吹く春を待つ人々から私が感じたのは、環境に準じて逞しく生きる生命力。
色のない世界で生きる人々の姿が妙に生々しい。
月山、湯殿山、鳥海山。
自分の辿った情景を振り返りつつ読めることが嬉しい。
綴られる日常で発せられる土着の言葉が心地よく響く。

「繭の中で天の夢を見る」
蚕を例えた言葉だけど、この表現がとても好き。
蚕は夢見てる間に茹でられちゃうんだけどね。←おい。
今年は湯殿山と羽黒山を訪れ、来年は月山に行こう、と話していたタイミングだったこともあり、
登録1400冊は読みなれない芥川賞作品で攻めて(?)みました。





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