きままに読書★
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「楽園のカンヴァス」原田マハ(新潮文庫)
【アートを理解する、ということは、この世界を理解する、ということ。
アートを愛する、ということは、この世界を愛する、ということ】
絵画は自らを語らない。
けれども、その絵画に込められた想いがある。
その想いがそれを汲み取った者の気持ちを揺さぶり、
時に、その者の人生を変える。
「夢をみた」
一枚の絵画に込められた謎と、その謎に翻弄される人々。
そして、語られる一人の画家の人生。
と同時に、それは、彼の周囲にいた人々の人生をも語っていたのだ。
ルソーに固執したバイラー。
その理由が明らかになった時、胸が震えました。
そんな人生も、あるのだと。
彼らの人生の物語は終幕を迎えたけれども。
ティムと織江の人生はまだこれから。
二人のカンヴァスに描かれる物語は、どんな色を織り成すのかしら?
「四百年もまえの絵が自分の目の前にある、ということは、単純に「すごい」ことだ」
一番共感したのは実はこの一文。
ルーブルで教科書の中でしか見たことのなかったレンブラントの絵を間近で見た時、
涙が溢れて仕方がありませんでした。
その理由がまさにそれ。
数百年の時間を越えて、いま、この場所に在る絵画を見ることのできる感動に、
ただ打ち震えました。
内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。
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