きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「欲望」小池真理子(新潮文庫)
あまりにも美しく、あまりにも狂おしく、そしてあまりにも切ない物語。
彼らのあり様は刹那で醜悪で、だが、におい立つように香しく崇高ですらある。
動から静へ。
時の流れと共に移り変わっていく女の人生が描かれた物語。
と、同時に、そこには彼女を取り巻く人々の人生も紡がれている。
彼らの人生を読み進める中、濃密な官能の中で翻弄され、
押しつぶされそうな胸苦しさに掻き乱される。
そして気づけば、溢れ出る涙に途方に暮れる自分がいる。
彼女の編み出す物語世界の緻密さ、紡がれる言葉の美しさに雁字搦めになってしいまっている。
そしてため息。
しばらくこちら側に帰ってこれそうにもありません。
内容(「BOOK」データベースより)
三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ―。切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。
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