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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「死命」薬丸岳(文春文庫)



【今まで家族のことを大切に思ってきた。
 だが、大切にしてきたかと問われれば、自信がない】

抑えに抑えていた殺人衝動が解き放たれたきっかけが余命宣告。
そのおかげで新しい世界に踏み込めたと語る榊。
その言葉に、彼の三十三年の空虚さを突きつけられたようで、苦い思いが込み上げる。
解放された魂は殺人という行為によって至上の快楽を貪るのだけれども。
人生を奪われた彼女たちにとってはたまったものではないだろう。
到底許される所業ではない。
奇しくも同じ病で余命幾許もないことを知らされた殺人犯と刑事。
追う者と追われる者が対峙したその空間で、蒼井が榊についた嘘。
それは榊にとって天使の囁きか、悪魔の囀りか。
どの瞬間に命が尽きても、悔いはあるだろう。
家族や仲間に見守られて眠りにつけた蒼井は幸せだったのだと思う。

内容(「BOOK」データベースより)

若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。

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