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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「死日記」桂望実(小学館文庫)



【でも母さんが望んでいるなら。
 僕を生んでくれたのは母さんだし、大好きだから】

抱きしめてあげることができないなら。
子供を守ることができないのなら。
最初から生む資格なんてない。
ただ抱かれるだけの女であればいい。
友だち、友だちの両親、先生、隣人、親戚、バイトの雇い主。
誰もが潤を気にかけ、そして愛していた。
けれども、彼の心は満たされることはなかった。
誰よりも愛してほしかった母親の愛情を得ることができなかったから。
それでも彼は母親を愛した。彼女の幸せを願った。
大好きだから。
そう言いながらも、
自分がいなくなったら淋しがる人の名前に母親の名前を書くことができなかった潤。
それでも彼は母親の幸せを願い、母親を守りたいと思った。
母が望むなら、たとえそれが自分の死であっても受け入れようとした彼の気持ちが、とても哀しい。

声をあげて泣きました。
どうして彼は、そこまであんな母親を愛することができたのだろう?
と、思うも、なんとなくわかる気がします。
だからこそ、やるせなくて涙が溢れて仕方がありませんでした。


内容(「BOOK」データベースより)

田口潤は、14歳の中学生。3年への進級を機に、日記をつけ始めた。毎日彼が記すのは、実の父親の死後、母親の新しい恋人になった加瀬という男と3人での同居生活。仕事をせず、次第に母親に暴力をふるうようになった加瀬と、恋人に盲目的に尽くす母親。理解できない彼らの関係に怒りを覚えつつも、ただ母親の幸せを願う潤だったが、やがて彼は不吉な事件に巻き込まれていく―。事件を追う刑事が、少年が綴った日記から明らかにしていく衝撃の真実とは?家庭に潜む暗闇を抉り出した、桂望実渾身のデビュー作。

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