きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「淡雪記」馳星周 (集英社文庫)
それが、場当たり的、或いは衝動的な行為だったなら、冷めた目で見て終わっただろう。
だか、彼が胸の奥に秘めた覚悟もしくは諦念、いや、言うならば虚無が、
やるせなさを滲ませる。
地に堕ち、闇の中を彷徨っていた天使が出会ったのは、
凌辱に塗れた妖精。
哀しい程に純粋無垢な魂を抱え、息苦しい世界でもがく彼女。
森の中で出会った二人の辿る道は、多分最初から分かっていた。
そもそもが、彼自身、もはや後戻りできないところに立っていたのだから。
だけど、出会えたことで彼らの人生に添えられた彩りがある。
だから彼らは幸いの中で眠りにつく。
雪のゆりかごと月の光に抱かれて。
600項越えてるわりには、サラッとしてるなーという読後。
馳星周の『不夜城』『虚の王』のツートップは揺るがず。
花村萬月も『ブルース』と『皆月』のツートップは揺るがず。
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