きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「潮騒」三島由紀夫(新潮文庫)
【正しいものが、黙っていても必定勝つのや】
煌めく陽の光。海の匂い。そして、海の奏でる潮騒。
余計な物の一切を削ぎ落としたかのような島での暮らし。
その中で育まれた若い二人の恋は、文字通りの純愛。
一途で誇らしげで、濁りがないから美しい。
下世話な噂をされても、逢瀬を禁じられても。
彼らはどこまでも凛として、胸を張っていた。
出過ぎず、出しゃばらず。
それでも息子の恋を案じる母の心遣いもあたたかかった。
盲目的に突っ走ることなく、周囲に理解を得ながら
ゆっくりと育まれていった恋。
青年から成年へ。
とても自然に、そして見事に変貌を遂げた瞬間のように感じられる幕引きがいい。
情景描写がとても美しく、登場人物たちが生命力に満ち溢れている。
海女たちが行商からお買い物をするシーンは、とても共感できます!
とりあえず蜂はとても良い働きをしたと思います。
内容紹介
文明から孤絶した、海青い南の小島――潮騒と磯の香りと明るい太陽の下に、海神の恩寵あつい若くたくましい漁夫と、美しい乙女が奏でる清純で官能的な恋の牧歌。人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致をたもちえていた古代ギリシア的人間像に対する憧れが、著者を新たな冒険へと駆りたて、裸の肉体と肉体がぶつかり合う端整な美しさに輝く名作が生れた。
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