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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「紫嵐(Violet Storm)」五條瑛 (双葉文庫)



タイトルが秀逸。
前巻で男が囁いたのは、革命だった。
そして少年は嵐を誘う。
鮮やかな生命力をまとった少年の著しい成長に驚くものの、
それは、彼が早々に大人にならざるを得ない環境にその身を置かれたからだ。
自分の過去を受け入れることができた亮司はずいぶんと落ち着いた青年になったけれども、
サーシャに対する鬱屈を捨てきれないところがかわいい。
そして裏社会でもがく大人たち。
裏切りは裏切りを呼ぶ。
そんな簡単なことに何故思い至らないのか。
だが、それ以外に生きる術を持たない彼らの生き様が痛々しい。
鳩と一紀のかみ合わないコンビ。良いと思ったんだけどな。


本作のプロローグを読み終わった瞬間、
『プラチナ・ビーズ』を引っ張り出してきてそのプロローグとエピローグに目を通す。
ああ、この子が……と思えるのは、シリーズ読み&作家読みの醍醐味。


本編の感想は単行本で投稿済み。
文庫にはご褒美的な書下ろしの短編が収録。
すみれとキラ。
二人の少年の出会いがこの先、何をもたらしていくのかとても気になる。
「難しい。けれども、不可能じゃない」
ならば、手を伸ばす以外の選択肢はない。
ほしいものを指を咥えて見ているような、生易しい環境で育ってきてはいないのだから。

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