きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「心洞―Open Sesame」五條瑛 (双葉文庫)
その手に銃を握った彼女の強さが悲しくて、そして震えるほどかっこいい。
穏やかで優しい生活を、愛する男を奪った代償はその命で。
殺意を実行するに足るだけのものを与えてくれる者たちが周囲にいたのは、
手を知恵で汚しても微塵の後悔もない彼女にとっては幸いだったのだろう。
人との出会いが運命を狂わせる。
その典型がヤスフミ。
知らず足を踏み入れた沼は、奈落へと引き摺り込まれるものだった。
守りたいと思うものがあるのに。
魔性にかどわかされたのは彼の弱さ。
確たる意思を持った者たちが泥臭く、したたかに生きていく街、新宿。
最後に嗤うのは誰?
「どうして人には一つしか命がないのだろうか。
もしも複数あれば、その全部を奪ってやるのに」
強烈な殺意を表すのにあまりにも端的な言葉に唸る。
その言葉通りに戦う彼女の生命力の強さが眩しい。
本編の感想は単行本の方で投稿済み。
文庫の書下ろしの短編は嘉瀬と一紀の出会い編。
これもまた、人との出会いがその後の運命を決める一幕。
決して恵まれた環境下にはない者たちが、支えあうのではなく搾取しあう。
生きていく、ということがとても過酷な社会で、それでも、芽生える絆がある。
未来を語る者たちがいる。
たとえそれが大きな変革の果てに構築される未来だとしても。
……続きがめっちゃ気になるので、読書休暇ください。←無理。
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