きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「老人と海」ヘミングウェイ(新潮文庫)
この物語では、海はどこまでも傍観者だ。
干渉することなく、他人顔でただそこに在るだけ。
果てなくつづく海の上でたった独り、
巨大な魚と命がけの死闘を繰り広げた老人、サンチャゴ。
永遠に続くかに思われた死闘を淡々と描き続ける描写に、思わず拳に力が入る。
その魚との戦いに、老人は勝利した。
だが、物語はそこでは終わらない。
迫るくる脅威は別なところにあった。
結局彼は、骨だけになった大きな魚と共に、傷だらけになって帰港する。
満身創痍の身体を横たえるサンチャゴ。
だが、彼の人生に「負け」の概念はない。
ライオンの夢を見る老人は、明日もまた、海へと足を運ぶのだろう。
寄り添う少年の存在が終始救いだった。
10代の頃は、物語に含まれる重みも深みも面白さも、多分ほとんど理解できなかった。
だが、あれから歳を重ねて読み終えた今、胸にぐっとくる想いがある。
サンチャゴの寂寞と力強さがひしひしと伝わってくる。
著者の他の作品も是非読んでみたいと、そう、思わせてくれる作品でした。
内容(「BOOK」データベースより)
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
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