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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「聖なる黒夜 下」柴田よしき(角川文庫)



【この男が堕ちたところまで自分も堕ちて、
 闇の中で道を探す以外に、もうどうにもならない。】

時に殺してしまいたいほどの屈折した想いではあったかもしれない。
だが、確かに韮崎は練を愛していた。そして練もその想いに応えた。
冷たい線路の上に投げ出した練の命をひろいあげたのは、韮崎という闇だった。
その闇に練を追いやった原因の一端が自分で在ると悔やむのであれば、
共に闇に堕ちる覚悟がなければ、麻生に練の人生に口をはさむ資格はないだろう。
韮崎が殺されることがなければ、麻生は自らの犯した過ちに気付きもしなかったのだから。
綺麗事では誰も救えはしない。その言葉は響かない。
冤罪。
その言葉の投げかける意味は、とてつもなく重い。
練の問いかけに答える麻生。
それで何かが変わることはないだろう。
長い夜は明けることはない。多分この先もずっと。
けれども。
そこに差し込む一筋の光の存在を信じたい。

内容(「BOOK」データベースより)

聖なる日の夜、一体何が起こったのか。ひとつの事件を通して暴かれていく麻生龍太郎と山内練に秘められた壮絶な過去。さらに事件は新たな殺人事件を招き、人間の愛憎、傲慢、悲痛な魂の叫びを曝け出していく。二人はこの暗黒の絶望の淵で何を決断したのか。息をもつかせぬストーリー、幾重にも張られたミステリ、そして人間の罪と罰を描破した孤高の大長編!!下巻に本書サイド・ストーリー『ガラスの蝶々』を書籍初収録。

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