きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「聖なる黒夜 上」角川文庫(柴田よしき)
【俺はどっちだって構わないんだ。ただ、あんたの言葉を聞きたい。】
やり直す場所は、夜明けの線路の上。
穏やかに暮らしていたあのアパートではなく、
全てを終わりにすると決めた、冷たい暗闇の中。
自分をそこから引きずりあげた韮崎との出逢いは間違いだったのか。
静かな問いに震える声で答えた麻生は、己の傲慢を知る。
「感謝する」
絞り出すような言葉に嘘はない。
かつての麻生が練に放った、偽ったつもりのない言葉。
そこに練を気遣う心があったとしても、
その言葉が練の運命を残酷なまでに狂わせたことを、
知ってしまったからには彼は心に刻むべきだ。
幸せか?と問われれば、練はただうっすらと笑うだけだろう。
疲れ果てた魂が、愛おしくてたまらない。
初読は人待ちの名古屋空港で。
気付けば私、分厚いハードカバー抱えてラウンジで号泣していました。
殺人事件をきっかけに浮かび上がった練の人生が、やりきれなさすぎてたまらない。
内容(「BOOK」データベースより)
東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていく―ベストセラー「RIKO」シリーズから生まれた究極の魂の物語、ついに文庫化!上巻に本書サイド・ストーリー『歩道』を書籍初収録。
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