きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「虚の王」馳星周(角川文庫)
【考えればいいんだよ。
どうすればいいのか、なにをすればいいのか。
ちゃんと考えればなんだってうまくいくんだから】
邪気のない悪意。
日常の中に紛れた狂気。
うるさいから刺す。邪魔だから殺す。
まるで不快な汗をぬぐうような気軽さで、
道徳や倫理といった概念を飛び越えてしまう少年、
栄司と出逢ったことによって運命を狂わされた人々の物語。
かつては暴力で渋谷に君臨した隆弘ですら、
栄司と出逢ったことで破滅への道を転がり落ちていってしまう。
僅か数日の出来事にしては、あまりにも濃密すぎて眩暈すら覚えそうになる。
度を越した暴力の連鎖に眉を顰めながらも、先へ先へと頁を捲る手が止まらない。
それは、登場人物を介して作者の放つエネルギーに吸い寄せられ、
引き込まれるような感覚なのかもしれない。
内容(「BOOK」データベースより)
新田隆弘は鬱屈をため込んでいた。かつては渋谷で伝説のチームと言われた“金狼”の元メンバーも、今ではヤクザの下っ端。兄貴分の命令で高校生が作った売春組織を探っていた隆弘は、中心人物の渡辺栄司に辿り着く。さして喧嘩が強そうでもない、進学校に通う色白の優男。だが、栄司は仲間を圧倒的な恐怖で支配していた。いったい何故。隆弘が栄司の全く異質な狂気に触れたとき、破滅への扉が開かれた―。
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