きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「風よ僕らの前髪を」弥生小夜子(東京創元社)
子どもを守り、育てるべき立場の大人が、一体何をしているのか。
彼らの抱えた苦しみは、筆舌に尽くしがたい。
その事件の核心に近づくほどに、子どもたちに罪はなく、
糾弾されるべきは大人たちだと思えてならない。
それでも、諦めることなく、挫けることなく。
懸命に生きてきた彼らの繊細な想いのベクトルは、想い描いた通りの方向へは進まない。
「一生終わらない初恋の物語だ」
帯のこの言葉が胸に刺さる。
身内であったからこそ、たどり着けた真実。
彼ならきっと、重荷を分け合ってくれる。
だから、
その扉が開くとき、安堵の吐息がこぼれますように、と。
切に願いながらの読了。
はじめましての作家さん。
繊細に丁寧に描かれた物語世界が読み進めるほどに胸に染み入ってきて、
気づけば夢中になって読み進めていました。
この作品がデビュー作。
今後の作品にも期待したい。
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