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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「イギリス人の患者」オンダーチェ (新潮文庫)



激動する時代から取り残されたかのような廃墟で暮らす四人の男女。
年齢も国籍も異なる彼らをそこに集めたのは、戦争。
そんな彼らの生活を壊したのも、やはり戦争。
それぞれの視点で語られる過去。
とりとめもなく、やさしく、時にやるせなく。
時間も国も状況も事なるその物語が、次第にとある真実を浮かび上がらせていく。
いずれは終わると思っていた歪な四人の時間。
けれども。
終焉の引き金を弾いた要因は私の想像の範疇外ながら
あまりにもよく知ったもので、愕然とする。
黙々と爆弾を処理してきた男の絶望と混乱を思うとやりきれない。
美しく、そして残酷な物語。良作。


ガーディアンチャレンジをしていなければ、
絶対に手に取らなかったと思う本がいくつもある。
その中から、チャレンジしていたからこそ出会えてよかったと
心から思う本も出てくるわけで、この本もそのうちの一つ。
夜の静寂の中で静かに読み進めるのが相応しい作品。
絶版になっていることが残念でならない。
そして自分がいつから積んでいたのか全く分からないところも残念でならない……←
【ガーディアン必読108/1000冊】

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