きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ムーン・パレス」ポール・オースター(新潮文庫)
【変化、というものも僕は考えている。
何ごとも、いつでも、突然、永久に変わってしまいうるのだということを。】
人の営みは、すべて繋がっている。
過去があってこその現在。
親があってこその子。
そして構築される歴史。
だが、人と人との絆は必ずしも永遠に継続しうるものではない。
交わり、親密に絡み合い、ふいに断ち切れる。
それは、死であり、別れであり、自然な消滅でもある。
出逢いと別れの繰り返し。
けれども、たぶん、それが人生。
絶望に呑みこまれ、周りの人たちの善意によって人生を立て直し、
そして再びすべてを失ったかに見えるマーコだけれども。
彼の得たものは確実に彼のこの先の人生の糧となる。
多彩な言葉と不思議な経験で綴られたこの物語は、
彼の人生のはじまりの物語。
月ではじまり、月で終わる物語。
この物語の中では、月は未来の象徴。
月を見上げた彼から未来への一歩を踏み出す力強さを感じ取れたことに安堵する。
内容(「BOOK」データベースより)
人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた…。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。
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