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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「殺人者の顔」ヘニング・マンケル (創元推理文庫)



過疎の田舎町で起こった凄惨な殺人事件。
その事件解決に奔走する警官にも、日常の営みがある。
家族の崩壊。
親の介護。
淡いときめき。
仕事での一喜一憂。
病魔との闘い。
人生の苦悩。
日常の悩みを抱えながらも、懸命に仕事をこなす彼らの姿には、
どこか親しみを覚える。
そして、人が生活する社会には様々な問題が内在していることもまた、突きつけられる。
高齢化社会の他に
本書が描かれた当時の欧州よりも、今の方がより深刻な問題と化している移民問題。
差別的な思想から、痛ましい事件が起きてしまう。
一冊の本に多くのことがギュッと濃縮された作品。



冒頭で、年老いた夫が、隣で眠っている
長年連れ添った妻の吐息を確認するシーンがとても印象的。
「一人になってしまったわけではないのだ。まだ」
読了後は事件解決の爽快感ではなく、もの淋しさを噛みしめる。
誰にでも、いずれ別れが訪れることを知っているから。



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