きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「異邦人」カミュ(新潮文庫)
あなたは誰?
終始付きまとっていた問い。
それが判明した瞬間から最後までの記述を追いながら、
これまで示されてきた彼の冷静さと客観性、
そして見え隠れする情愛がじわじわと沁みてきて
うっすら涙が滲んだ。
ペストという猛威が蔓延し、外界から隔離された過酷な環境の中で
ペストと戦いつつ、自分自身の抱えた問題とも向き合った人たち。
自身への問いかけに対して各々見出した答えには、
驚愕、感嘆、共感、苦悩等々の想いを抱いた。
病との戦いの終息は、新たな脅威のはじまりなのか。
疲れ切った医師にひと時の安息が訪れることを切に願う。
「なにも幸福である必要はないんですわ。もう一度やり直すためには」
「希望失くして心の平和はない」
そしてもう一つ。
「まず第一に健康です」
今回心に残った言葉。
海のシーンが強烈に印象的で、切ない。
一人一人の苦悩と答えに対してあーだったこーだった言いたいけど、
ネタバレになるので回避。
心の中で見上げたオランの空は、終始どんよりと灰色に染まっていました。
【ガーディアン必読 66/1000】
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