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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「鍵のかかった部屋」ポール・オースター (白水Uブックス―海外小説の誘惑)



彼の著作。
彼の妻。
彼の子供。
そして、彼の想い。
全てを引き受け、いまはここにはいない彼・ファンショーの人生を追跡するうちに、
次第に自分の脚元を見失っていく僕。
その作業にのめり込むほどに彼と自分との境目が曖昧になり、いつしか僕も
「鍵のかかった部屋」の内側に閉じこもった彼と同じ道を行くのかと思ったけれども。
そうはならなかったことに目を瞠る。
三部作を読んできて、あ、と思った瞬間。
ファンショーとの決別は、ようやく得ることのできた自我の確立。
いや、妻に「帰る」と伝えた時点で、僕は既にファンショーの影と決別し、
自らの脚で立っていたのだと思う。
ソフィーがいてくれたことに感謝だよ。

【ガーディアン必読 10-3/1000冊】『ニューヨーク三部作』三作目。
『ガラスの街』『幽霊たち』と、自分の立ち位置としてはずっと
物語全体を俯瞰するような感じで読んできたけど、
ここにきてようやく物語の中に入れてもらえた気がする。
各々独立しても読めるとはあるけれども、その感動(?)を噛みしめるためにも、
個人的には順番に読んでいっていただきたい作品。


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