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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「闇の奥」ジョゼフ・コンラッド(光文社古典新訳文庫)



【誰にも束縛冴えずに歩いていく人間が、孤独を潜り抜け、
 静寂を通り抜けて、原始の世界のどんな異様な場所へたどり着いてしまうことがあるか、
 君らにわかるはずがない】

熱帯の密林。大陸の河。異文化の人々。未知の大地。
語り手であるマーロウと共にアフリカの河を遡ることは、
文字通り「闇の奥」へと分け入っていく行為。
まとわりつく熱気を感じ、息苦しい空気を感じ、
息を呑み、眩暈を覚えながら、頁を捲る手が止まらない。
クルツに相見える瞬間を心待ちにしながら。
彼の抱えた闇も狂気を宿した行為も、具体的には何も語られてはいない。
だが、抽象的であり、時に象徴的でもマーロウの言葉が、
彼の狂行を浮かび上がらせる。
彼の「雄弁」さを、納得してしまう。
ジワジワと闇の奥に引き込まれるような読後感。
圧巻でした。

片方の国にとっては「開拓」であっても、片方の国にとっては「侵略」。
ちょっとイロイロ考えさせられました。
読みながらゴールディングの「蠅の王」が頭を過ったので、こちらもそのうち再読したいです。

内容(「BOOK」データベースより)

船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは。

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