きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「凍る月~灰色の衝動~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)
組織の内情に更に踏込み、登場人物も増え、
物語は増々重厚さを増していく。
組織のトップ須王が、あら、とっても素敵。
獣人抹殺を唱えがら孤軍奮闘する訳ありな銀も魅力的。
光陽のことを警戒心がなさすぎと文句を言い続けた梁井だけど、
結局梁井も無条件に相手を信じたことが仇になり、手ひどい目にあってしまう。
うん。梁井もイロイロお馬鹿さん。
そういう隙というか甘さを抱えた非情に徹しきれない二人だからこそ、
殺しあうしかない獣人同士の関係を変えていくことができるのかな?
と思えてくる私も楽観的。
忍を手なづけることができたらちょっと楽しそう。←危険思想?(笑)
とりあえず今回の梁井はひどい目に遭うくらいの無神経なことを
光陽に対してしたと思うので、深く反省するといいと思うわ。
知れば知る程、みんなそれぞれ事情を抱えた一人の獣人で
目を離せない人が増えていってしまう。
完結するまでとっても楽しめそう♪
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「世界でいちばん美しい城、荘厳なる教会」
ピンタレストでお城や教会の写真を集めているのですが。
なんかもう、携帯画面でチマチマ見るんじゃなくて、
どどーんと広げて眺めたい!と思った時に出逢った本作品。
買ってよかった素晴らしい一冊。
写真の美しさは言わずもがななんだけど、
たとえばかつて読んだ本だったり、見た映画だったり、学習したことだったりが
彷彿とさせられて、とても良い刺激になりました。
簡潔に添えられた解説は、スッと頭に入るわかりやすさ。
立地の奇抜さ、建造物の壮大さ或は繊細さ、
自然の光の織り成す美しさ、人口の模様の緻密さ、様式美……
繰り返し眺めて何度もうっとりしたい。
もっと大きいサイズで見たい……
という欲求を突き詰めると、きっと現地に行きたい!ってなるのよね。
どれかひとつは、自分の目で見に行きたいなぁ。
「凍る月~紅の契り~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)
運命を首肯し、或は嫌悪し、それでも
自らの人生を受け止めてまっすぐに生きている人たちが
みんな魅力的。
梁井の愚直な不器用さは愛おしいし、
一癖ある黒澤はメッチャ憎めないし、
何より人間でも獣人と戦える執事、アレックスが特大級でカッコよかった!
なんなの、あのスペックの高さ!
戦うことしか知らなかった獣人たちに対して、
共存を訴える光陽が与える影響って半端ない。
えげつない組織の一部が明らかになり、
これから彼らとどう係っていくのかが気になるところ。
黒澤の自己肯定は見習いたい。
自分で自分を認めてあげないと、息苦しくて仕方ないと思うから。
光陽が口にした無自覚の殺し文句は萌えた。
あれじゃあ梁井も歯軋りしつつも抱きしめるしかないよね。
黒澤のその後がものすごーーく気になるんですけどーーー!!!
「凍る月~漆黒の情人~」夜光花 (ラヴァーズ文庫)
情報は身を守る盾にも武器にもなる。
真に我が子を守りたかったのなら、
早い時期に本当のことを教えるべきだったのでは?と思いつつ、
温室育ち故の素直さとまっすぐさが、光陽の武器なのだと思い直す。
獣人と餌。
共依存のはずなのに、なんだかイヤな言い方だな~と思っていたけど、
梁井の発したこの関係性を表す言葉に納得。
自分本位で一方的な梁井の発言に最初はイラッとし、
でもその直後の彼のフォローや、発した言葉を悔いる言葉に
結果的に絆されるというか、許してしまうというか。
狡い大人。
彼の芯が一本通った生き様はとてもカッコイイと思う。
次巻も楽しみ。
「商業的にNGなことが多くて、ぬるい感じになってしまった」とあとがきにありますが。
私、全力のバトルが読みたかった~!
とは言え。
さすが夜光さん。読み応えバッチリのアクションバトルです。
とりあえずすべてのBL作品に言いたい。
連作や続き物には是非巻数を!
ちゃんと最初から並べていたはずなんだけど、いつの間にか1作目と2作目が入れ替わっていて、
はりきって2作目から読み始めて?????となりました。←すぐに気付いたけどね(笑)
「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ (草思社文庫)
短編4編収録。
「少年の日の思い出」は岡田氏訳(『蝶』に「クジャクヤママユ」として収録)で、「ラテン語学生」「美しきかな青春」は高橋氏訳(『青春はうるわし』に収録)で読了。感想投稿済み。
「大旋風」
彼女の愛情を受け入れられなかった理由に彼のプライドと矜持があるなら、
若さゆえの早計かな?とも思えるけど、
単に彼女が好みではなかっただけなら、まぁ、仕方ないわね。
全体的にちょっと現代に寄ったヘッセを読んでいる気分になったのは、
訳者だけではなく、装丁の違いに寄るところが大きいと思う。
それでも、漂う透明感と情景描写の秀逸さは変わらず。
「少年は散歩などしない」
この一文がとても印象的。
そうか。
彼らの行動にはいつだって何某かの意味がある。
「わが愛しのホームズ」ローズ・ピアシー (モノクローム・ロマンス文庫)
ホームズのパスティーシュ。
「極秘捜査」から「最後の事件」へつづく2篇を収録。
ものっっすごい良かった!
前半に漂うストイックな背徳感と、決して口にすることのできない禁断の想い。
やるせなさと諦念とがじわじわと押し寄せて、
『四つの署名』でのワトソンの決断にこんな裏があったとは!
と、切なくなります。
そして後半は忍び寄る悪意に翻弄される怒涛の展開。
散りばめられた彼らの想いを汲み取るたびに泣きたくなって、
最後の最後で……わぁ、そこは是非読んでみてください。
原書もすばらしいのでしょうが、柿沼さんの翻訳が
原作の雰囲気を踏襲していて素晴らしい。
私、ルパン派!とずっと言い続けてるけど、
うっかり鞍替えしそうになりました。←しないけど、でもよろめきそう(笑)
JUNEに傾倒してきた方々には手放しでおススメ。
こういう雰囲気、たまらなく好き。
可能であれば、事前に『四つの署名』を読まれることをお薦めします。
『最後の事件』はWikiでさらっと内容を摑んでおくと、捕捉になります。
「四つの署名」コナン・ドイル (新潮文庫)
扱っているのは殺人事件なんだけど、
全編にわたって漂うおおらかさというか、のほほんとした感じがすごい。
ヒマをもてあましてコカインをキメちゃうって、
今だったら捕まっちゃいます!
謀をする人たちが意外と簡単に人を信じちゃうのも
根っこは単純なのね、という微笑ましさすら感じる始末。
笑ってばかりもいられないのは、
イギリス人からの視点によるインド人の描写が
何だか差別的に感じこと。
これは作品が書かれた時代性なのかな?
事件に巻き込まれた(首を突っ込んだ?)彼らが
終始楽しそうだから、まぁ、いいか、と、
妙なところで納得して読了。
西欧の植民地支配が現代社会に与えた影響は……
とか、根深い方向に思考が飛びそうになったので、
物語へと軌道修正。
「(自分が乗っている)船が焼けてもいいからつかまえろ!」という
ホームズの無茶ぶりに笑った。【ガーディアン必読 63/1000】
「ハイスペックな彼の矜持と恋」夕映月子(シャレード文庫)
「完璧なタチ」と言われる自分の真の望みは、
実は「抱かれる」ことなのでは?
自分一人では解決し得ない悩みをかかえてしまうことは厄介だ。
悩み抜いた槙が意を決して足を踏み入れた店で出逢った三隅。
久しぶりに野性味あふれるフェロモン垂れ流しの
ついでに仕事もできちゃう超絶スーパー攻め様に出会いました。
そんな男に仕事で一目置かれる槙もハイスペックな受け様。
様々な葛藤や言葉不足の認識違いを経たうえでの槙の
「後ろで抱いてあげます」発言は、素晴らしい名言だと思った。
対等な存在として互いを尊重し合う、最高のパートナーに乾杯☆
同じ出来事を槙視点と三隅視点とで語られた二種のペーパーはお得感満載。
垣間見える三隅の嫉妬心がいいね。
「モモンガの件はおまかせを」似鳥鶏(文春文庫)
短編四話収録。
相変わらず馬鹿笑いできる楽しさと、胸を突かれる問題提起とが混在していて、
面白いだけでは終わらない読後感が絶妙。
捨て猫を拾って愛情込めて面倒をみる人もいれば、
飼ったものの、面倒を見きれずに無責任に放り出す人もいる。
ペットを飼っている友だちがよく憤っていることを
彼らも指摘してくれていました。
この巻でプライベートが明らかになった方は、とても納得の出自。
彼らが事件に巻き込まれる遭遇率の高さは突っ込まないでおきましょう。
そこを突っ込んだら、私のお楽しみがなくなってしまうから。
「アッパーカット」が超最高!惚れます。
次点で「捕ってこい」。鬼だ。
胸につかえたどんよりとした想いを払拭するために、
そこだけ読みかえして大笑いして読了。
「ダブル・トラップ Love&Trust EX.」榎田尤利 (SHYノベルズ)
沓澤と核が大好きな私にはとてもとても嬉しいボーナストラック。
ふたりの出逢い編と、本編その後。
なんだ、最初から堕ちてたんじゃん!と言いたくなるふたりですね~。
核の抱えてしまったトラウマをちゃんと理解している辺りが、
沓沢の大人の懐の広さだなぁ。
己の弱さを知っているからこその強さって確かにある。
それを自覚しているから沓沢は強いのか、と、
しみじみ惚れ直しました。
そして、内心の全てを吐き出した核のかわいいこと。
このふたり、本当に好き。
真の意味で一線を越えた二人をしっかり認識した杣さんはさすがです。
テンポよくサクサク読めるシリーズで、楽しく一気読み。
繰り返しになるけど、石原さんのイラストとのマッチングが本当に素敵でした。