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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「この夏のこともどうせ忘れる」深沢仁 (ポプラ文庫ピュアフル)




彼も、そして彼女も。
この夏に起こった出来事を決して忘れない。
それは、心の底に残された大切な宝物。
かすかな痛みと共に思い出す、ひと夏の想い出。
その夏の延長上に彼らはまだ共にいるのか。
いて欲しいと思ったり、いないだろうと思ったり。
そもそもありえなかったり。
それぞれの話の「ふたり」の関係が透明感のある文体で書かれた短編5編。
爽やかな青春物かと思って読み始め、
衝撃を受けた「空と窒息」。
やるせなくて涙が滲んだ「宵闇の山」。
二人の幸せを切に願った「生き残り」。
チクチクと胸が軋む読後感に浸っていたいお借り本。


暗闇の中に響くのは、寄せて返す波の音。
私がこの場所にいることを知っているのは私と連れだけ。
もしも今、この海に呑みこまれたら、
私がどこに行ったのかは誰にもわからないんだろうなぁと
ぼんやり思った過去の思い出。
ゾクッとしたときに繋いでくれた手のぬくもりがありがたかった。
あの時は頼もしいなぁって思ったんだけど、
あとから思えば、多分相手も怖かったんだろうね(笑)

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「GIANTKILLING 55」ツジトモ(モーニング KC)



ブラン、夏木の乗せ方よくわかってる。
流石監督。
そのブランの背中を押したのは椿と夏木を育てた達海。
こちらも流石監督。
拮抗する日本とオーストラリアの試合展開は手に汗握る好勝負で、
アジアカップを通して結束し、成長著しいメンバーたちの活躍がとても嬉しい。
完全に開花した椿ののびやかなプレー。
日本中が歓喜する逆転劇。
だけど。
こんな劇的展開は望んでいなかった。
血の気が引くってこういうことだよね。
特に彼が贔屓だったわけじゃないけど、
嘘でしょ、と真顔で呟く自分。
彼に持田のようにはなってほしくない。
その怪我が大事に至りませんように。


呆然としすぎて感想が書けずにここまできてしまいましたが。
来月新刊が出るので慌ててUP。
スポーツに怪我はつきものだけど、つらいね。

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「宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット」辻村七子 (集英社オレンジ文庫)



ここでリチャードの過去が明らかに。
出逢った人によって人生が大きく左右されることがあるけれども。
もしもシャウルがリチャードを見つけることがなかったら?
どう頑張っても明るい未来が想像できなくて背筋が凍る。
シャウルと出逢い、後に正義と出逢い、
出逢いが更なる出逢いを呼び、
胸の内に秘めつづけた想いを解き放つことができたリチャード。
過去の出来事一つとっても
幾人もの人の想いが何層にも重なり、複雑に絡み合っていて
読み応えがある。
「諦めとは違う、現状の限りない肯定」
だから前に進むことができる。今この瞬間の、先にある未来へ。


「お鍋にミルクティ入ってるから」と言い置いて母親が出掛けた後、
寝起きの頭は鍋=コーンポタージュと直結し、
温めてスープカップに注いでスプーンで掬って口に入れて
「なんじゃこりゃ!?」と噴き出した思い出。
コーンポタージュだと思ってミルクティを飲むと
記憶にある味と直結せず、結果未知との遭遇になって慄くことになるのは経験値。

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「その先の道に消える」中村文則(朝日新聞出版社)



美しく繊細な世界観は申し分ない。
そこに彼の思想をぶちこまれるのはなんだか興醒めだけど、
まぁ、そこは我慢できる範囲内。
作中で彼が描くのは「悪」ではなく「闇」。
闇に堕ちた、或はギリギリで踏みとどまっている人たちの心理描写は秀逸。
読む手は途中で止まらない。
だけど。
読み終わってみれば
私も「その周辺を彷徨う」類のカテゴリーに弾かれた感満載。
迷子にはならなかったけど、同調もできなかった。
途中までは凄く楽しかったんだけどなぁ。
葉山さんも嫌いじゃないんだけどなぁ。(むしろ好き)
なんだか惜しい。



エロが書きたければ、
いっそそれに特化したジャンルで書いてみるといいんじゃないかな?
途中であんだけぶっこまれるとしつこいわ!ってうんざりする。
そして、彼の描く女性が根本的に似たようなタイプばかりで、
そこは個人の好みだからいいんだけど、私的には面白みに欠ける。
とりあえずハードカバーで追いかけるのはここで打ち止め。
残念。









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「つないで イエスかノーか半分か番外篇4 」一穂ミチ(ディアプラス文庫)



それが本当か嘘かということと
正しいか正しくないかということはイコールではない。
ないんだけど。
真実に反しているとわかった時点で糾弾される。
そのリスクを負う覚悟があるのか。
バレなきゃいいという甘い考えで手を染めるのか。
そもそもバレないと思っているのか。
各々で負う負債の大きさとその後の対応の仕方は変わってくるんだろうね。
仕事に対する熱意は自分の内から湧いてくるもの。
だけど、そこに外的要因が加わったらより楽しく頑張れる。
素直になりきれない栄が可愛くて仕方ない設楽。
ゆっくりじっくり熟成させていく恋模様。

「炎と書いてジェラシーじゃん」という台詞を
「炎と書いてミラージュじゃん」と読んでしまい、
ん?何言ってんの?と台詞を二度見した自分の闇(?)は深いと思ってしまった(笑)
仕事を頑張るのも流すのも自分次第。
私は……今の状態で適当に流したい。←ダメ発言(笑)

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「赤と黒(下)」スタンダール (新潮文庫)



作中の人物たちの想いに全く共感できないので、
途中までは読み進めるのが苦行。
ジュリヤンとマチルダの恋愛は
「自分のための恋愛」という感覚が全面押しで
恋愛というよりもはやどちらがより優位に立てるかの勝負。
強烈な自尊心の根底には、相手に対する情愛がしっかりと宿っていることが
確信できるのは、色々なことが手遅れになってから。
そして決して尽きることのなかったレーナル夫人とジュリヤンとの絆。
彼のために最後まで尽力した親友のフーケ。
彼らの悲痛な想いと運命を受け入れる覚悟を決めたジュリアンの心の凪が伝わってきて、
最後は切なくなっての読了。

苦行を抜けるまでが長かった……
もうちょっと時間がかかるかと思ったけど、何とか週末前に読了。
ジェロニモと言えばキン肉マンを思い浮かべていた子ども時代。
今はジェロニモと言えば天草四朗。
見聞したものに影響されまくりの連想ゲーム(笑)

【ガーディアン必読99-2/1000冊】

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「愛しのニコール」凪良ゆう(ショコラ文庫)



悩んで苦しんで立ち止まって。
一歩を踏み出そうとして停滞して、やっぱり悩んで。
人生ってそういうものよねーと、いう想いを
長い年月をかけて彼らと一緒に追えたお借り本。
一度は尽きかけた情熱。
そこからどう持ち直すのかな?と思ったけど、
日常の積み重ねの上に新しく芽生えていったやさしい熱情。
何処かのタイミングでどちらかが諦めてしまっていたら決して成就することのなかった恋。
この二人のこれまでの経緯を思えば、一直線にうまくいくよりも説得力があった気がする。
二人を育んだ故郷にずっとずっと一緒に帰省できるといいね。→

ニコールが一番最初に出逢った二丁目の人がマスターで良かったと
心底思ったお借り本。
心からくつろげる癒しの場って大事だよね。
そこでリフレッシュできるからこそ、明日からの日々を頑張れる。
私の場合はお部屋で読書が十分な癒しタイムになっているのです♪






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「赤と黒」スタンダール(新潮文庫)



これはロマンなのか無謀なのか?
若気の至り、と言うにはレーナル夫人は年を重ねすぎている。
が、遅れてきた初恋、と言えば、まぁ、あり……なの!?
いや、子どもがいる時点でなしでしょ。
そしてジュリヤンの想いも純然たる恋、というよりも、
手に入らないものを欲する子どもじみた独占欲のようにも感じられる。
……と言っても、彼はまだ子どもか。
その行動が迂闊に過ぎるレーナル夫人と、
野心をその胸に抱くも、極端にその視野が狭いように思えるジュリヤン。
足りないのは経験値?
なんだか色々危なっかしい。
勝手にやってよ……と言いたくなりつつも、
行く末が気になるので下巻へ。

付きまとう閉塞感は時代にもよるのかな?
ジュリヤンが夫人を悪魔的に魅了する話だと勝手に思っていたけど、
読んでみるとそうでもなくて、思い込みをリセットするのにちょっと時間がかかった。
ifに意味はないけど、
この子が親から愛された子どもだったら、その将来は全く違っていたんだろうね。
「モデルになった実在の事件」がどういうものだったのかが気になってみたけど、
調べている暇があったら下巻を読むべし(笑)
【ガーディアン必読99-1/100冊】

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「2119 9 29」凪良ゆう (ショコラ文庫)



この世界に生まれ落ちたからにはやさしくしたいし、やさしくされたい。
大切な人と一緒に天寿を全うしたい。
例え目の前にどんな困難が立ちはだかっていたとしても。
誰かと共に歩む幸せな人生を描ききった物語。
やさしさと愛情深さが読み進める程沁みてきて、胸が震える。
阿部ちん、オトコマエだったよー。
そして、自力ではままならないことも、
誰かの力を借りれば突破できることも思い知る。
タイトルの意味は途中で知れる。
じゃあ、どうやってその時をむかえるの?
そう思って読み進める程にいろんな思いが溢れて泣きたくなり、
読んでいる間も読み終わっても幸せだった。

読めて良かったお借り本。
個人的にリョウと芝のアメリカでの暮らしぶりも気になる。

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「ショートケーキの苺にはさわらないで」凪良ゆう (ショコラ文庫)




やさしくてやわらかくて。
哀しくてあたたかい、とても綺麗なお伽噺。
単純に恋愛っていうだけじゃなく、
誰かを幸せにできる大きくて深い愛情のかけかたって、
こういうことなんだろうなぁ、と心から思える。
与えるだけじゃなく気づきがあって、
お互いに受け止めあう想いの純粋さが眩しい。
南里と出会ってからのシンはそうやって「幸せ」の意味を教えてもらって、
南里の周りには彼を理解して力を貸してくれる仲間がいた。
人の営みってそういうもの。
悩みながらも幸せをみつけて
一度きりの人生を一直線に歩んでいく。
終着点は「死」。
だからこれは幸せなお伽噺。

「何のために生きているのか」を
吐きそうなほど考えてハイティーン時期を通過してきた身としては、
なんとなく釈然としない結末で、カテゴリーとしては良質なファンタジー。
悶々としていた頃の自分を懐かしく思い出したお借り本。
ちなみに。
『銀河鉄道スリーナイン』は私の殿堂入りアニメベストスリーの一角です。

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