きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「木曜日だった男 一つの悪夢」チェスタトン (光文社古典新訳文庫)
彼が「木曜日」になるまでの過程にぐっと引きつけられる。
この先どうなるの?と高まる期待。ワクワク感。
不可解で魅力的な男たち。
読み進めるうちになんとなく見当がつく彼らの正体。
だけど「何故?」がわからない。
気になる。
気になりすぎて頁を捲る。
捲って捲って……「なんじゃこりゃーー!?」
表題にあるように、私も悪夢(?)に翻弄された気分になる。
「何故」を追求しちゃいけないんだろうな。
曜日になぞらえた七人がキャラ立ちしてるので、
一人一人掘り下げたストーリーを想像するのも面白い。
読むたびに読後の印象が変わりそうな作品。
掴みはメッチャオッケー。むしろ大好き。
で、大風呂敷広げての「なんじゃこりゃー!?」の典型は、私にとっては菊地秀行氏。
Dもエイリアンも魔界都市シリーズも大好き。
大好きなんだけど、突っ込みたいことが多々あってどれもこれもシリーズ完走できてない(笑)
【ガーディアン必読 89/1000】
PR
「マーメイド・マーダーズ 」ジョシュ・ラニヨン(モノクローム・ロマンス文庫)
再読。
読み進めるうちに事件の顛末は、ああ、そうだった!と思いだしたわけだけど。
続刊を読むのに必要なのはそこじゃなく。
ケネディとジェイソンがどんなふうに反発して
どんなふうに気持ちを通わせていったのか。
これがごっそり抜け落ちていて、再読した甲斐あり。
ってか、そこが抜けてるって自分どうよ?と突っ込みつつ、
おかげで、不器用な40代男子がドアの前でモダモダする様を
新鮮な気持で楽めした。
心配でたまらないのにストレートにそう言えないところとか、
ケネディの愛情表現がとても可愛い。
そしてジェイソンが言い当てたケネディの本音が抜群に良い。
今後の二人の関係がどうなっていくのか、とても楽しみ。→
未読の1冊を加えるとトータル29冊のレーベル買い。
作家買いの場合は集めることに意義がある場合があって、
内容に関してはどこかで妥協することがあっても
レーベル買いとなると、面白くなければいずれは作家や作品の内容
で手にする本を選択していくわけで、
すべてを無条件で買い続けることを良しとする
クォリティを維持している作品を出し続けてくれるのがとても嬉しい。
「翳りゆく夏」赤井三尋 (講談社文庫)
事件は解決している。
事の顛末もわかった。
だから、もやっとしているわけではない。
ただ、心底気になって、そして知りたくて仕方がない。
その後彼らがどんな人生を選択したのか、を。
「余韻」という言葉とは全然違う。
ただ気になって気になって仕方のない読後。
自分だったら?のifは
「目の見えない人の不自由さは目を閉じただけではわからない」
という千代の言葉通りでしかない。
だから提示してもらいたい、という思い共に
これはこれで完成形なのだと納得できる部分もある。
ものすごい吸引力のある作品だった。
金額あわせのためにポチッとした作品だけど、
とても良い引きだった。
Amazonのカートの中に300冊近く入っていて、
ブックオフでオーダーする時に送料無料まで金額が足りていないと
そこから見合った金額の本を引っ張ってくる……という買い方をします。
だから、ブックオフではコレが欲しい!と明確に意図して買うものの、
Amazonの方は何でカートに入っているのかもはや分からない作品が多数(笑)
「逆説の日本史 14 近世爛熟編」井沢元彦 (小学館文庫)
「忠臣蔵」との最初の出逢いは年末時代劇。
吉良=悪者というイメージがインプットされること数十年。
アレは史実じゃないんだよ、と教えられた数年前の衝撃はなかなかだった。
え?ってことは吉良が討たれたのはとばっちり!?
と思った当時の私は間違ってなかったと、頷きながら読み進めた第一章。
第二章以降もほぼ知ることのなかった綱吉の治世について等、興味深い話が続く。
というか私、江戸時代を殆どよく知らない。
この時代に頑張った商人の功績が、現代につながっていることを痛感。
竹島問題のルーツもデパート・スーパーの元祖もここから。
情報を消化しきれていないので再読必須。
秋に酒田に行った時に北前船見てきた!と復習気分。
百聞は一見に如かずだね。
本間美術館にも行ってきたけど、これを読んでから行ったら、
感じることはもっと違ったかも。
ま、酒田は何度か行っているので、また行く機会があるはず。
サンファンバウティスタ号。
老朽化の前に乗船できてよかった。
そして、去年、お友達と楽しく遊びに行けてよかった。
■行きたい場所:備中松山城・別子銅山
「うたかたの愛は、海の彼方へ」華藤えれな (ガッシュ文庫)
愛と憎しみの間で苦悩と葛藤を繰り返したアンドレ。
矜持と誇りを持ち続け、己自身の在り方と愛を見失わなかったレオーネ。
彼が侮蔑と好奇の視線に晒されながらも、
凛として執務に向かった姿がとても尊い。
断片的にしか物事が見えていなかったアンドレ。
真実を告げる言葉を呑み込んだレオーネ。
まぁ、言ったところでアンドレが聞く耳を持ったかは謎。
怒れる人って人の話聞かないからね。
結局は自分で真実にたどり着くしかない。
友情を育み、憎しみを生み出した海。
再び巡り会えた今、二人で眺める海が穏やかでありつづけますように。
結局登場しないままだったけど、
一癖も二癖もありそうなスルタンに会ってみたかった。
「調教」と言う言葉が妙に安っぽく響いたのはなんでだろう?
なんかいちいちひっかかってしまった謎。
「進撃の巨人 30」諫山蓮創(講談社コミックス)
頁半ばで思わず本を閉じてしまったほどの衝撃が、そこにはあった。
一呼吸して恐る恐る開き、その描写に改めて息を呑む。
こんな展開が待ち受けていたとは。
彼の決意はあまりにも揺るぎなく、あまりにも重く、そしてあまりにも強い。
時空を越えたその先にあるのは、冒頭のシーン。
それは、物語が破綻なくここまで紡がれてきたことの証。
迷いなく立つ彼が、そこにいる。
あまりにも壮大な物語。
そして、容赦のない物語。
希望を匂わせることは微塵もなく、「選べ」と彼は叫ぶ。
自らの意志で、その未来を。
走る亀裂。崩れる壁。
世界は、どうなる?
1話目のタイトルと122話目のタイトルを見比べて唸る。
プロットがきっちりしているからこその物語展開なんだと思う。
読み応えがありすぎて嬉しくなる。
「誓約」薬丸岳 (幻冬舎文庫)
過去は現在へと間違いなく続いている。
断ち切ることも、都合よく全てを無かったことにすることもできない。
そして、社会の中で生活をしていくかぎり、
私たちは法を順守して行かなければならない。
だけど、感情は別だというのも納得はできる。
復讐をする権利はない。
だけど、感情はそれを望む。
狭間に陥った精神の苦痛はいかほどのものなのか。
そして、過去の自分が犯した罪と命を繋ぐために下した苦渋の末の約束が、
現在の彼を苦しめる。
命を奪うことを回避するため、そして大切な人を守るために奔走した彼には
待っていてくれる人がいる。
全力で頑張る方向を間違えていたことに気付いた真犯人は絶望から這い上がれるのだろうか?
→
身バレしちゃったけど、ヤクザ方面からの追求は大丈夫なの?とふと心配になった読後。
後半は綺麗にまとまった感じだったけど、前半のドキドキ感は凄かった。
「疵 スキャンダル 4」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)
打ち砕かれたこれまでの価値観。
と同時に芽生えた新しい価値観。
それでも「核」となる自分は変わらずにここに在る。
理想的な変化を遂げた桐原は、多分、この先の人生を毅然として歩いて行ける。
孤独の中で衝動的に桐原に縋った司馬。
司馬は一度桐原を許した。
そして今度は、桐原が司馬を許した。
幾多の夜を乗り越えて、ふたりが選んだ選択は切磋琢磨。
「上にのし上がる」という目指すものは同じでも、
最初の出世争いの関係とは意味合いが全く違う。
その変化が、ただ嬉しい。
男と男。というよりも一人の人間同士として向き合った二人の物語。
一気読みの面白さでした。
読み終わって気付いたら長淵剛の『乾杯』を唄っていて、「何でこの曲」と思ったわけだけど。
桐原に捧げたい歌なんだと、歌詞を反芻しながら納得。
ジェットコースター展開がたまらなくツボ。
かわいさんの作品はまだまだ手元にあるから再読も積読攻略も楽しみ♪
「疵 スキャンダル 3」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)
前言撤回で司馬コノヤロウと言いたくなる三巻。
人に対して絶対に言っちゃいけない一言ってあると思うのね。
悪意ではなく、無自覚な嫉妬から、
今の桐原に対して向けたら凶器にしかならないNGワードを口走ってしまった司馬。
刺し貫かれて抉られた桐原と一緒に泣いてしまった。
抉られるのは一瞬。
だけど、そこから傷口を塞ぐまでには膨大な時間と労力を要することもある。
とは言え、どん底の中で自分の今までの他人との向き合い方を考え始めた桐原。
これは進歩。
桐原を取り巻く事象が良い方向に転換するといいなぁ。
最後の有賀視点の短編がとても良かった。
JINEにどっぷりつかってきた身としては、この仄暗さと逃げ場のない息苦しさと
それでも捨てられない想いといった連続技(?)がたまらない。
なんか間違ったホーム感(笑)
「疵 スキャンダル 2」かわい有美子 (B-PRINCE文庫)
それを裏切りと言い切ってしまったら
桐原の立つ瀬もなくなってしまう気もするけど。
まぁ、司馬が憤るのもわからなくもない。
人と人。
一対一で係わりを持ち続ければ何らかの情は湧く。
どん底の自分を全て晒して司馬に縋った桐原と、
思いがけずその桐原を受け止めてしまった司馬。
桐原を放っておけない司馬が、なんだかいい人に思えてきたわ。
自分の実力だけでのし上がっていくことが難しい世界で目指す出世は
代償が大きすぎて私は価値を見いだせない。
でも、桐原にはもう「それしかない」んだろうなぁ、と思うといたたまれない。
司馬の口から出てきた「次」の言葉に安堵する。
「今回」を許された証だから。→
で、結局この二人どうなるの?と、思わず最終巻に手を伸ばしたくなる衝動は久々。
知りたい。
とても知りたいけど、ここはぐっと我慢ですよ~~!と言い聞かせて3巻へ。