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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「アロー」一穂ミチ (幻冬舎ルチル文庫)



気持ちの温度で例えると、低めに進行する物語。
だけど、その熱くない感が心地良い。
関わる人たちの気持ちがあたたかくて、
だけどベタついていない距離感がやはり心地良い。
そしてサラリと放り込まれるいくつもの印象的な出来事。
金子、いい人だよー。
金子がいてこそつながった草と麦。
つながったからこそ、柵から解放された二人。
一人では変わることのできなかった二人の心情の変化の丁寧な描写から、
フラットだった感情の起伏が伺えて、互いに芽生えた想いに安堵する。
表紙とタイトルを改めて眺め、統一された世界観に浸れる読後。
作中の人たちの会話がとても楽しくて好き。

「底までついたらあとは浮上するだけ」って激しく共感。
中途半端なところで踏ん張ってるから苦しい。
だったらいっそ底まで落ちてしまおう。
上に行く以外、行き場がないのだから。
そう思えるようになった瞬間、楽になったかつての私。
ああ、だけど果てしなく穴を掘る夢を見てうなされたこともあったわ~。(爆笑)

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