きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「meet,again」一穂ミチ(ディアプラス文庫)
想いが深くなるほどに増す苦しさは、確かに存在する。
離れた方が楽になれるかもしれない。
現に嵐は栫との距離が縮まったことによって、屈託なく笑えなくなってしまった。
でも、離れられない。
関係を絶ったつもりでも、「行こうか」の一言でリセットされてしまう。
理由づけができなくても、理不尽だとわかっていても。
それが、「好き」だということ。
栫は何かが欠落していて、この先もそれが埋められるかどうかはわからない。
だけど、「あなたが存在する世界」で「起きる」ことを選んだ栫。
それは間違いなく、嵐がいてこその覚醒。
「こんにちは」
繰り返されるその言葉が、愛の言葉になる日が来ると良いと思う。
読後は決してすっきりした感じではないけれども。
この余韻を含んだやるせない感覚が好き。
何度も噛みしめて反芻したくなる感じ。
内容(「BOOK」データベースより)
大学構内の生協で働く嵐は、飲み会の席で栫という学生と知り合いになる。どこか冷たい静けさを纒い、独特な言動をする栫と嵐はまったくタイプが違ったが、つかず離れずの友人関係は意外なほど長く続いている。そんなある日、嵐は心の内に抱え続けていた、母の死にまつわる秘密を栫に暴かれて―?ゆっくりと落ちてゆく心を計る砂漏の恋。その後の二人を描いた「hello,again.」も収録。
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