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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「あるキング」 伊坂幸太郎(徳間文庫)



【人は死ぬまでは不死身だ】

不思議な読後感の本だった。
いや、この物語自体が不思議なのか。
だが、その不思議に対しての「何故?」を考える必要はない。
「きれいはきたない」ですべてに説明がつくからだ。

自分を含め、己の将来について思い悩む人が数多いる中、
生れた時から「野球選手」という己の道を貫き通した彼の迷いのなさはうらやましい。
と同時に、人よりも抜きんでた才能を持ったが故の苦労と煩わしさは、気の毒でもある。
だが、遠回りを余儀なくされても、彼は己の目指した「野球選手」となり、前代未聞の記録を打ち立てる。
後悔はないはずだ。

結果がどうあれ、野球は楽しい。
去り際の監督の、最後の言葉。
私自身がどんな道を歩むのか、いまだ途上でわからないけれども。
人生は楽しかった。
最期にそう言える道であればいいと思う。

内容(「BOOK」データベースより)
この作品は、いままでの伊坂幸太郎作品とは違います。意外性や、ハッとする展開はありません。あるのは、天才野球選手の不思議なお話。喜劇なのか悲劇なのか、寓話なのか伝記なのか。キーワードはシェイクスピアの名作「マクベス」に登場する三人の魔女、そして劇中の有名な台詞。「きれいはきたない」の原語は「Fair is foul.」。フェアとファウル。野球用語が含まれているのも、偶然なのか必然なのか。バットを持った孤独な王様が、みんなのために本塁打を打つ、そういう物語。

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