きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「ジェントルマン」山田詠美(講談社文庫)
【理由なんて、ひとつしかないんだよ。
ぼくがぼくだからという、それしか。】
彼の行為。彼らの関係性。
それらを、どこかで軌道修正することはできたのだろうか?
いや、それは不可能だっただろう。
何故か?
それは、彼らが再三にわたって叫んでいる。
彼が、彼だから。ぼくが、ぼくだから。
他に理由はない。
倫理、理屈、善悪。
それらすべてを飛び越えたところに起因するものは、ただひとつ。
溢れる想い。
他人には理解されなくてもいい。
時に、染み出す水のように。時に込み上げる慟哭のように。
心の内側から溢れ出す想い。
美しい言葉で紡がれる、歪な世界。
そこに漂う、背徳めいた幸福感。
他者に対してそこまで残酷になれた男の末路。
納得の結末でした。
内容(「BOOK」データベースより)
眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎。しかしある嵐の日、同級生の夢生はその悪魔のような本性を垣間見る―。天性のエゴイストの善悪も弁えぬ振る舞いに魅入られた夢生は、漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う。切なくも残酷な究極のピカレスク恋愛小説。
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