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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「八日目の蝉」 角田光代(中公文庫)



【もし、二手に分かれる道の真ん中に立たされて、どちらに行くかと神様に訊かれたら、
 私はきっと、幸も不幸も関係なく、罪も罰も関係なく、
 その先に薫がいる道を躊躇なく選ぶだろう】

犯罪は肯定しない。まずはそれが大前提なわけだけど……

母であった「あの人」の元から引き離されて泣いた薫。
「あの人」のもとへ帰ろうと、一人、道を歩いた薫。
たとえ、実の親元から不当に連れ去れらた子どもだったとしても、
「あの人」……希和子に愛されて大切に育てられたことが痛いくらい伝わってくるからこそ、
場面場面でなんだか泣けて仕方がなかった。
どうしてこの人たちは「親子」でいられないのだろう?と。
けれども、偽名を使い、過去を偽って生きていかなければならない生活は、
遅かれ早かれ破綻する。
希和子は法で裁かれ、薫は恵里菜として実の両親のもとで暮らすことになる。

時を経て……
かつて、幸せだった場所を、ただ遠くから眺めることしかできない希和子。
新しく前へと進むためにその場所を訪れ、今の家族と新しい一歩を踏み出そうとする薫。
それでいいのだと思う。
彼女たちの人生は、交わらないままでいい。
それでも、希和子が薫の母であることには変わりないのだ。

内容(「BOOK」データベースより)
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。

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