きままに読書★
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「刑事のまなざし」 薬丸岳(講談社文庫)
【どんな理由があっても人を殺してはいけないんだ。人を傷つけてはいけないんだ】
七編の連作ミステリー。
事件と向き合う夏目は常に公平に、時に厳しく、そしてやさしく事件の当事者たちに対峙する。
七つの犯罪にはどれも複雑に絡み合う人々の心のあり様を暴き立てる。
どんなに誰かのためと思っても、罪を犯すことは悲しみしか生まないということを知らしめる。
随所で語られる彼の言葉は、どれもこれも胸に残った。
たとえどんな事情があっても、人を殺してはいけないと諭す夏目。
刑事であり、そして犯罪被害者の家族でもある彼の胸に、激しい憎しみの塊はない。
最後の物語で、彼は娘を植物状態にした犯人と対峙する。
犯人を前にして憎しみの連鎖を断ち切る言葉を叫んだ彼の気持ちの強さと一生ぬぐえない悲しみに胸を打たれた。
内容(「BOOK」データベースより)
ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです―通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。何度読んでも涙がこぼれる著者真骨頂の連作ミステリ。
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