きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「夏の吐息」小池真理子(講談社文庫)
【生き続けること、愛し続ける事、諦めないこと、
笑うこと、突き進むこと、振り返らないこと】
淡々とした言葉でつづられる、愛の話が六篇。
一つ一つの物語の後を引く余韻が鮮烈で、
次の物語に進む前に一度本を閉じて、その余韻を噛みしめる。
すると、流麗な言葉で綴られる物語の情景が浮かんできて、気持ちが揺さぶられる。
やるせなさと切なさに涙が滲む物語。
生死観を考えさせられる物語。
街の活力と人の逞しさに力づけられる物語。
それらは、命への讃歌であり、愛の讃歌でもある。
特別な話はひとつとしてなく、どれもが日常の中で起こり得る物語。
だからこそ、余計に胸に迫るものがある。
特に印象に残ったのは
「月の光」の不安定さ「パロール」のやるせなさ「上海にて」の力強さ。
六篇の収録順はこれ以外ないと思いました。
内容(「BOOK」データベースより)
永遠に待ち続けると思うのです。世界のどこに行っても、地の果てにいても、私はあなたを待っている。―六年前、突如行方が分からなくなった恋人を待つ女性のモノローグからなる表題作他、濃厚な死の影の間近で紡がれる詩情。
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