きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「掏摸」中村文則(河出
立ちはだかるのは、「木崎」という、圧倒的な理不尽。
抗う隙間がないことに苛立ちとやるせなさと諦めとを噛みしめながら、
暗雲の中に呑まれようとした瞬間に生じた誤差。
浮草のように漂っていた彼が示した、この世界への執着。
その先を想像することを許されてはいるけれども。
私は何も考えまい。
姉妹編、『王国』を読むまでは。
この世界観、この描写。
ジワジワと押し迫ってくる感じがたまらない。
一気に読み切って、溜息。
自らの手で切り開くことができるのが、運命なのだと。
神を気取った男に、どうしたって抗いたい。
読友さんのレビューで『王国』につながることを知ったわけですが。
慌てない、慌てない。ちゃんと積んでました。(笑)
彼と子供とのやりとりがとても好きだった。
ちゃんとした服を着て、お菓子を食べて。
まっすぐに育ってほしい。
内容(「BOOK」データベースより)
東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。
PR
COMMENT