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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「春狂い」宮木あや子(幻冬舎)




ひと言で言うならば……壮絶。
かの少年と少女はなんて息苦しい世界で生きていたのだろう?

壱話と弐話を読んだ時点では独立した短編の連作?と思わなくもなかったけど、
参話から六話まで点が線で繋がっていく展開は見事。
人間の強さと弱さ。愛と妄執。人と人との関係性。
文章を追いながら胸に迫るのはそういったものの在り方だった。

初読の時の印象はただひたすら綺麗な世界が描かれていると思っていた。
再読してみると、人間の抱える歪さやゆがみに目を背けたくなる。
その中でもまともな大人である結城や前原のような存在は救いだった。

「支配と暴力と痛みの中に絶望以外の感情を生み出すことができること。
 即ち、それが、人としての本来の強さ」との記述が印象的。
個人的にはこれが真理……というか、真理であってほしいと思う。

内容(「BOOK」データベースより)

生まれながらにして、人を狂わすほどの美しさを内包していた一人の少女。男たちの欲望に曝され、身体を穢された美少女が、桜咲く園で望んだ未来とは―。窓の外で桜の花びらが突風に巻き上げられている。放課後の教室、私は教師の前でスカートをたくしあげる。「私をあと二年、守ってください」。制服の下に隠された、傷だらけの少女の秘密。

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