きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「時の渚」笹本稜平(文春文庫)
【現実は苦い。ときには過酷なものだ。
だが、俺はそれを受け入れる。
その運命を生きる以外に真実は存在しないからだ。】
生き別れの息子を探し出すことを依頼された元刑事の私立探偵。
その瞬間からまわり始めたのは、真実を暴き出す運命の歯車。
あまりにも淡々と進む前半に、このままいくわけないよなぁ、と、
穿った読み方をしながら頁をめくっていくわけですが。
終盤に向けて明かされていく事実には、
何とも言いようのない悲哀と感動で涙腺が崩壊しました。
親子って、親子って……うわーん。
親から子への愛情。子から親への愛情。
胸の内から自然とこみあげる愛情は、とても深くて純粋だと思う。
もはや語り合うことのできない人からの手紙。
綴られた茜沢の父からの言葉が胸に響く。
返したい言葉を伝えることができない人への想いに押しつぶされそうになった茜沢を救った松浦老人の言葉。
しばらく浸っていたい余韻の残る本でした。
内容(「BOOK」データベースより)
元刑事で、今はしがない私立探偵である茜沢圭は、末期癌に冒された老人から、35年前に生き別れになった息子を捜し出すよう依頼される。茜沢は息子の消息を辿る中で、自分の家族を奪った轢き逃げ事件との関連を見出す…。「家族の絆」とは何か、を問う第18回サントリーミステリー大賞&読者賞ダブル受賞作品。
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