きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「楊令伝7 驍騰の章」北方謙三 (集英社文庫)
近づく激戦の時を前に静かに語られる、
それぞれが抱えた覚悟や歩んできた人生。
彼らの間に悲壮感はない。
やるべきことをやりながら、ただひたすらに時を待つ。
彼らの会話から、男たちの関係性や想いが垣間見れることが嬉しい。
そして、とてつもない喪失が待っていた終盤。
声を呑み込んだ代わりに涙が溢れた。
最後に伝わった息子に対する父の深い想い。
そして、楊令が見せた激情。
彼とて、完璧な人間ではないのだと。
想わせる一面が嬉しく、そして哀しい。
犠牲は双方にあった。
「昔の自分を知る人間がいなくなった」
童貫の孤独がとても淋しい。
戦いは、始まったばかり。
「どういう意味かわからなかった」と、彼は言う。
そう。『楊令伝』から加わった者達にはわからない。
だけど、『水滸伝』から読みつづけている私にはわかる。
そんな、北方の表現が心憎い。
久しぶりに開いた『楊令伝』。
彼らがそこに居る。
ただそれだけで、胸に広がる心地よさ。
帰ってきた。
そんな気すらするのだ。
つまり、好きすぎて大変です。(笑)
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