きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「水の時計」 初野晴(角川文庫)
【奇跡を祈るということは自分の力を放棄したときにすることだ。
たとえどんな困難な状況に陥っても、そんな無責任なことはするまいと思っていた】
物語全体を通してのイメージは、蒼い月の光。
表紙にインスパイアされる部分が過分にあるかもしれないけど、
脳裏に浮かぶのは、とても綺麗な蒼い色の世界。
だが、その世界で紡がれる物語を生きる彼らの中で、
幸せだと言い切れる者は果たしていたのだろうか?
「人の幸せは、その本人にしかわからない」
全くもってその通りで、皆が幸せと不幸せとを抱えている。
そうして生きていくのが人生……なのかな?
自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えつづける葉月。
その臓器を秘密裏に運び続け、髪の色が変わるほどの苛烈な状況に在りながらも、
世界にひとりぼっちではないと気づけた昴。
幸福の王子をモチーフに紡がれる物語の結末は、切なくも、やさしい。
内容(「BOOK」データベースより)
医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた彼女が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった―。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第二十二回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
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