きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「沈黙」遠藤周作(新潮文庫)
【あなたはなぜ黙っているのです。
この時でさえ、黙っているのですか】
救済を求めて、神に縋る。
楽園を夢見て、苦難に耐える。
「信仰」というよりも現実世界からの「逃避」に近いように思えるその感情は、
百姓たちにとって現実を生きることが、とても辛かったから。
死と引き換えに貫いた信仰心。
けれども、そんな彼らにすら、神は黙したまま何を語ることもない。
「あなたはなぜ黙っているのですか?」
消えゆく命を見つめることしかできなかった、ロドリゴの問いかけが、痛い。
神との対話は己との対話。
神の言葉、すなわち、救済は己自身の中にある。
人は、弱い。そして、強い。
踏絵を前にしたロドリゴの葛藤が胸に沁みました。
フェレイラが語る「日本人の神の概念」には納得。
学生の頃、国語の問題文として出された箇所を明確に覚えていた自分にびっくり。
印象深かったんだなぁ。
全体を通して読んでも、その部分の描写や秀逸だと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
キリシタン迫害史を背景とする緊迫のドラマの中に、神の存在を問い、信仰の根源を衝いて、西洋と日本の思想的対立を鋭くえぐり出す長編小説。谷崎潤一郎賞、ピエトロザク賞受賞。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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