きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「炎の影」香納諒一 (ハルキ文庫)
「憎んでいた」
そんな言葉から始まる物語。
彼の人生を一変させたきっかけは父の死だった。
そのことで何を思ったとしても、死者と語ることはできない。
いまさらに過ぎるのだ。
だが、そのきっかけがなければ、公平は父の本当の気持ちを知ることも、母の元に戻ることも、
人生をやり直すこともできなかっただろう。
真実を手繰ろうと、濃密な時間を駆け抜けた公平に手を貸した人々にも、
歩んできた人生がある。
ハイスピードな展開の中でも
彼らの人生が交錯し、より密接に絡み合い、或は離れていく様が見事に描かれていて、
作品世界に没頭してしまった。
ラスト近くの母親とのシーンが好き。
いくら離れていても、親は親なんだな、と思える瞬間。
そこで笑う人はあんまりいない気がするけど、
流れが妙にリアルで微笑ましくて、私は笑ってしまった。
手を汚す人、命を落とす人が意外と都合よく(?)振り分けられた感じがするのは……
容赦なくガツガツやられる作品を読みすぎたせいだわね。
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