きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「牙」北方謙三(集英社文庫)
【牙をなくしちゃなんねぇ。
いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ】
牙。
男が決して失くしてはいけないもの。
常に鋭く研いでおかなければいけないもの。
容赦なくいたぶられ、毀れそうな心が最後に縋った一本の糸。
祖父が遺してくれた戦う術。それが、牙。
「行きな」
それは、解放の合図。
解き放たれた獣が咆哮し、獲物に跳びかかる。
それは当たり前の日常との決別。
それでも、譲れないものがあった。
守らなければいけないものがあった。
自らの手でつけた決着。
たとえ、生まれた国を捨てることになったとしても、彼に後悔はない。
垣間見られる祖父の愛情が切ない。
向かった地で、彼と語れる木があるといい。
渇いた心の、せめてものやすらぎに。
ひどく人間臭い高樹に妙な違和感を覚えつつ、
親近感を抱くという不思議。
矢野と在沢の存在はありがたかった。
内容(「BOOK」データベースより)
ふとしたことで事件に巻き込まれた石本一幸、19歳。謎の女が残したシガレットケース。その中には巨悪の証拠を示すフィルムが!そして祖父が襲われ、死んだ。いまはのきわに残した「牙をなくしちゃなんねえ。いざという時にゃ、牙をむけるのが、男ってもんだ」の言葉を胸に、迫りくる組織の魔手、陰にひそむ大物に、一幸の復讐が始まる。
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