きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「猛き箱舟 上巻」船戸与一(集英社文庫)
望んで飛び込んだ、血と暴力の世界。
その男には思想も矜持も守るべき者もなく、
男をその場所に駆り立てたものは、享楽的な野心だった。
革命のために命がけで戦った人たちには意味不明すぎただろうね。
灼熱の砂漠での作戦行動。
そこで受けた手酷い裏切り。
彼が裏切った相手をただ恨み、逆恨み的な復讐心に燃え滾ったのなら、
ちょっと興ざめだったかもしれない。
頼まれもしないのに危険に足を踏み入れたのは彼自身の意思だから。
だが、自らの行動の結果と、辿るべき運命を受け入れた上での
「血の匂いのぷんぷんする大きな貸し」
この台詞はぐっとくる。
次巻で男がどう化けるのか。気になる!
「何年かして僕が死んだら、おじさんを僕が天国から見守っててやるよ」
逃れられない運命を受け入れた子供の言葉に泣きたくなった。
だからこそ、シャリフの叫びが重く刺さる。
「どんなことがあったって生きなきゃなんねぇ!」
その通りだよね。
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