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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「猛き箱舟 下巻」船戸与一(集英社文庫)



裏切りと復讐の連鎖。そして、殺戮。
修羅の只中に突き落とされた一人の男が
冷酷な戦士に成り変っていく様にゾクゾクする。
一度狂いだした歯車は、どこまでも噛み合わないまま軋んだ悲鳴をあげつづける。
男を変貌させたのは周囲の男たち自身。
己に刃を向ける獣を育てたのは自分達だという自覚はどこまであったのか?
優位な立場から追われる立場へと変貌を遂げた男の転落は、
家族のことに関しては、狭量になりすぎたせい。
くつろぎややすらぎを求める資格のない男が、それに甘んじようとしたせい。
血と硝煙の匂いのたち込める戦場こそが、彼の生きるべき場所だった。
雪山で男は、何を思っていたのだろう?

そしてやっぱり言いたい。
おじいちゃーーん!と。
ラストがあそこで終わりって言うのがものすごく納得がいかない。
これは、誰の物語だ?
誰が夢で見た箱舟だ?
面白かっただけに、そこだけが残念。
とはいえ、さすがの船戸与一。面白かった。





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