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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「疾走・下」重松清(角川文庫)



【あなたは生きてください。
 自分の生を一生懸命に生きて、他人の生を、慈しんでください】

「ひとり」を厭うた少年は、つながりを求めて受話器に手を伸ばす。
声がききたかっただけ。寂しかっただけ。抱きしめてほしかっただけ。
彼女たちもその呼びかけに応える。
たぶん、彼女たちも寂しかったのだ。
けれども……
その逢瀬が、新たな負の連鎖を呼び込んでしまう。
マイナスとマイナスで、さらなるマイナス。
人生はこんなにもままならない。
「逃がすために。守るために」
それが、少年の最期の願い。
最後に届いたメッセージは間に合ったのだと。
彼が微笑んで逝けたことが、せめてもの救いなのだと。
そう、思いたい。

僅か15歳の少年が、全てを背負わなければいけなかったことが、やるせない。
守ってあげられるのは親だけだったのに。
親もまた傷つき、疲弊し、自分自身を奮い立たせる術を持ち合わせてはいなかった。
最後まで傍観者に徹した語り部は、あくまでも見守るしかない他人。
雄二に会わせる事さえしなければ、と思うのは、私だけかな?






内容(「BOOK」データベースより)

誰か一緒に生きてください―。犯罪者の弟としてクラスで孤立を深め、やがて一家離散の憂き目に遭ったシュウジは、故郷を出て、ひとり東京へ向かうことを決意。途中に立ち寄った大阪で地獄のようなときを過ごす。孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人―。人とつながりたい…。ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた少年の軌跡。比類なき感動のクライマックスが待ち受ける、現代の黙示録、ついに完結。

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