きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「硬い爪、切り裂く指に明日」菅野彰(河出書房)
たとえばそれが黒だったとしても。
あんなふうに愛情を向けられた相手に対して、
正しさをまっすぐに突きつけることが、私にはできるだろうか?
彼は誰?
自分はどうしてここにいるの?
際限なく向けられる無償の愛を受け止めながらも、
その愛を与えてくれる相手が簡単に消えてしまう可能性が否めない怖さ。
平良はよくもあんなに真っ直ぐに育ったと思うけれども、
逆にそれは、その年で抱えなくてもいいものを抱え込んで、
懸命に読み解こうとしてきた彼の歪み。
消えない。消せない。
それが真実。
与えられた愛情は本物だった。
それだけが信じられればいいと。
心の底から希う。→
あまりにも身近すぎる街。
良く知りすぎている学校。
未曽有の大災害。
引き裂かれた家族。
そして、眞宙と平良。
最初から最後まで突き刺さってくる菅野さんの優しさと憤り。
他の作品でも語られてきたことが、ぶれずにここでも描かれていて、
私は彼女の作品を読みつづけていくんだろうなぁ、と、しみじみと思いました。
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