きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「私の消滅」中村文則(文春文庫)
「あなたはここにいていいの。ここにいれば怖いことはなにもないの」
抱きしめて、そんなふうに囁きかけたい。
この世界が、すべての幼い子どもたちが安心して過ごすことができる環境ならいいのに。
だけど、現実はそうじゃない。
「これまで経験することのできなかった、この世界の何かの平穏を」
この一文に抉られる。
「経験することのなかった」ではなく「できなかった」。
涙が零れた。
そして大人は己のしでかした愚かしい行為について、容赦なく断罪されるがいい。
だけど、その行為が意識下で操られたものだったら?
戦慄するしかない。
私は私。
迷いなく言える自分でありたい。
文庫化待ってた!
久々の中村文則作品読了後に深いため息。
感覚的に馴染んだ彼の作り出した世界に浸れる幸せ。
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