きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「聖母の深き淵」柴田よしき(角川文庫)
【愛してるんだ】
一連の事件の顛末を見事に描き切っている中で、
キリキリと胸が軋むような練と麻生の関係もきっちり読ませてくれました。
緑子に対しては思うところが色々で、振りかざしてくるような言い分に腹が立つけど、
その指摘の鋭さにハッとさせられたりもする。
結局彼女の女の部分に自分の感情も振り回されているような気がする。
安藤と連れ添う決意をしたシーンは好き。
愛。
とても崇高で、とても複雑なもの。
抱いて堕ちた泥沼の中から這い上がった時の麻生の翼の色は?
「愛している」という言葉に嘘がないことはわかっているけれども。
練の幸せを願ってやまない私には、泣きたくなるような問いかけです。
初読の時より再読した時の方がジワジワと胸に迫る切なさが半端ない。
内容(「BOOK」データベースより)
一児の母となった村上緑子は下町の所轄署に異動になり、穏やかに刑事生活を続けていた。その彼女の前に、男の体と女の心を持つ美人が現れる。彼女は失踪した親友の捜索を緑子に頼むのだった。そんな時、緑子は四年前に起きた未解決の乳児誘拐事件の話をきく。そして、所轄の廃工場からは主婦の惨殺死体が…。保母失踪、乳児誘拐、主婦惨殺。互いに関連が見えない事件たち、だが、そこには恐るべき一つの真実が隠されていた…。ジェンダーと母性の神話に鋭く切り込む新警察小説、第二弾。
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