きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「蟻の棲み家」望月諒子 (新潮文庫)
ただ事実だけを積み上げて物事を客観的に捉えることは、
実は思ったよりも簡単じゃなくて。
そこに主観や感情、そして想像のバイアスがかかって、事実に脚色が入ってしまう。
世間に飛びつかれやすい物語の方向性を決めて事件の報道をするマスコミが在る一方で、
そういった一切を排し、ひたすら関係者の話を聴きとっていく木部の事件との向き合い方故に
引き出すことのできた真相。
親が子どもを育てる。
それすらままない社会がやるせない。
社会が抱える問題を突き詰めると心が疲弊する。
だから、見なかったことにする。
だが、それは傍観者の選択肢。
当事者は渦中に在ったまま、もがき続けるしかないのだ。
それが購入のきっかけになり得るかもしれないけど。
過剰な帯の煽り文句は私にとっては邪魔。
先入観も誘導もなしに本と向き合いたい。
読む前の変な期待や想像を抱かせる煽り文句は、
それ自体がバイアスになりかねない。
この帯はこの作品の良さを伝えきれていない……
というより、マイナス効果かもしれない。
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