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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ドリアン・グレイの肖像」ワイルド (光文社古典新訳文庫)



彼の人生における分岐は二つ。
一つはヘンリー卿に出逢ったこと。
ドリアンが自らの言葉に影響される様に悦びを見出し、
彼の精神を意図的にコントロールしようとし、それを楽しむ嗜好に
込み上げる腹立たしさ。
もう一つはそのことに気付きつつも、
ドリアン自身の意志でヘンリー卿の示した在り様に甘んじたこと。
その瞬間、彼の運命はすべて己自身の選択の上に積み重ねられていく。
彼の悪行を写し取って歪んで行った肖像画。
たった一度の善行で、何故今まで積み重ねてきた悪行が消化されると思ったのだろう?
変わらない絵に絶望したドリアンにはやるせなさしかない。


ヘンリー卿に天罰が下ればいいのに、と、
ギリギリとした想いを噛みしめた読み始め。
破滅に至ったのはドリアンの精神の弱さかな。
ヘンリー卿並み、もしくはそれ以上の精神力があったら、
全ての悪行を背負って微笑みの仮面をつけたまま生きていけた気がする。
思っていたほど練ったり凝ったりした文章じゃなく、
読みやすかったのは想定外。
これはまた再読したい。
その時はもっと時間をかけてじっくりと味わいたい。
←初読の時はどうしても先へ先へと駆け足になっちゃうので。
【ガーディアン必読 80/1000】


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