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きままに読書★

読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。

   

「ブラッド・メリディアン」コーマック・マッカーシー(早川書房)



繰り返される殺戮と虐殺。
それが、文明が発展していく傍らで行われていた蛮行であることに身震いがする。
剥ぎ取られる頭皮。
打ち砕かれる四肢。
狩って狩って狩りつづける日常が淡々と繰り返される。
故に、時折差し挟まれるあまりにも人間らしい描写にはっとさせられるのだが……
忘れてはいけない。
血生臭い行為を繰り返す彼らこそ、人間であることを。
異臭と砂埃と血と贓物と。
ありとあらゆる穢れの中に在って、ただ一人、その穢れに塗れることなく
異彩を放ち続けた判事。
悪と弾劾されることのなかった彼の在り様が象徴するものは何なのか。
表題の意味が重い。


淡々と綴られる事象。
訴えかけてくる感情の起伏がないのに、いや、それ故になのか?
マッカーシーの紡ぐ物語に、ただひたすら圧倒される。
「こういう世界がほかにもあるんだろうか。それともここだけなのかねぇ」
どちらであれば、尋ねた男の慰めになったのだろう?
死にゆく男が歌う讃美歌が脳裏に響く。
血の色に塗り込められての読了。
【ガーディアン必読 68/1000】




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