きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「メルヒェン 」ヘルマン・ヘッセ(新潮文庫)
ヘッセの紡ぐ『メルヒェン』は、不思議な浮遊感の中に
胸を突かれるようなほろ苦さが織り交ざった物語。
透明な水が流れるような言葉の美しさに浸っていると、
不意に突きつけられた何かに息を呑む。
印象的なのは以下の三篇。
「アウグスツス」
愛されすぎることによる欠落と、見返りのいない愛を抱くことの充足。
ふり幅が極端すぎて疲れ切った彼が痛々しい。
「別な星の奇妙なたより」
彼が迷い込んだ世界こそが私たちの世界。
と、思えてしまったことがなんだか淋しい。
「ファルドゥム」
解けなかった魔法。
『メルヒェン』を冠するに、最もふさわしい物語。
「アウグスツス」を読みながら過ったのは『銀河鉄道999』。
愛されすぎて愛を返せず、生きることを放棄しかけた彼の心理と、
機械の身体で永遠を彷徨う人々の空疎さとが重なったのかな?
幼少期の私はメーテルじゃなくて鉄郎になりたかった。
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