きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「肩胛骨は翼のなごり」デイヴィッド・アーモンド(創元推理文庫)
どうか、彼女の鼓動が止まってしまいませんように。
どうか、彼の翼が美しく広がりますように。
子供の体温を、そのぬくもりを知っているからこそ。
そして、妹を愛おしく思う兄の気持ちが伝わってくるからこそ。
どうしようもなく胸が締め付けられる。
必死で生きようとする存在がある一方で、
ただそこに「在る」だけの彼の姿にやるせなくなる。
彼に翼を与えることができたのは、子供たちの純真でひたむきな想いがあったから。
だから彼は、彼女の枕辺に立った。
祝福を与えるかの如く。
込み上げる涙の意味を考えることに意味はない。
透明な想いに心が震える。そんな物語。
この邦題が秀逸すぎて、何度も何度も反芻しました。
反芻すればするほど泣きたくなるのは、
彼らが私がどこかに置き捨ててきてしまったものを、
綺麗なままで抱えているから?
とてお素敵な物語。
「この子を、愛して、愛して、愛してあげる」
そう言うキミも、愛されるべき存在。
リウマチの症状をなんとかやわらげてあげようと、懸命であったキミ。
優しい想いに包まれて、
読了直後の私は、これを打っているだけで涙ぐんでしまいます。
内容(「BOOK」データベースより)
引っ越してきたばかりの家。古びたガレージの暗い陰で、ぼくは彼をみつけた。ほこりまみれでやせおとろえ、髪や肩にはアオバエの死骸が散らばっている。アスピリンやテイクアウトの中華料理、虫の死骸を食べ、ブラウンエールを飲む。誰も知らない不可思議な存在。彼はいったい何?命の不思議と生の喜びに満ちた、素晴らしい物語。カーネギー賞、ウィットブレッド賞受賞の傑作。
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