きままに読書★
読んで思ったことを徒然に。ゆるーくまったり運営中。
「蠅の王」ウィリアム・ゴールディング(新潮文庫)
孤島に不時着した少年たち。
直面したのは、大人のいない世界で生き抜かなければいけない現実。
最初はその自由が楽しかった。
彼ら自身の力で秩序ある生活を保ちながら救助を待つはずが、どこかで歯車が狂い始める。
それは、豚を殺し、血の匂いを知ってしまったがための歪みなのか?
少しずつ何かが軋み始めた集団の中で拮抗する二つの力が反目し合った時、悲劇が起きる。
理性をかなぐり捨て、熱に浮かされたように殺戮へと走り出す。
人から獣へ、完全なる変貌を遂げようとした瞬間の、文明との邂逅。
安堵よりいたたまれなさを感じたのは、何故だろう?
救助された彼らの未来に光を感じることはできなかった。
「たぶん、獣というのは僕たちのことにすぎないのかもしれない」
とても象徴的なサイモンの言葉。
高校生の頃。理性をなくし、本能のままに殺戮に走り出した少年たちの姿に
感じた衝撃がずっと残っていて、またあの嫌な気持ちを引きずるのかなぁ、と、
警戒しながら読み始めたけど、意外とあっさり読了。
それは、内容を知っていたから、というよりも、今に至るまでの私の経験値が
人間ってそういうとこもあるよね、と、思えるようになってしまったから。
何とも複雑な気持ちになりました。
内容(「BOOK」データベースより)
未来における大戦のさなか、イギリスから疎開する少年たちの乗っていた飛行機が攻撃をうけ、南太平洋の孤島に不時着した。大人のいない世界で、彼らは隊長を選び、平和な秩序だった生活を送るが、しだいに、心に巣食う獣性にめざめ、激しい内部対立から殺伐で陰惨な闘争へと駆りたてられてゆく…。少年漂流物語の形式をとりながら、人間のあり方を鋭く追究した問題作。
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